MCDN

【実施報告】第四回MCDN定期勉強会「アートとWEBサービスの最新動向」

事務局山本です。

大変遅くなりましたが、1月21日(木)に行われた第四回勉強会「アートとWEBサービスの最新動向」の報告です。
この勉強会には、世界初のオンライン・アート・フェア VIP ART FAIR の開催や、美術作品共有サービス art.sy への多額の投資……と、昨年からぐっとアートと WEB ビジネスの関係がクローズアップされたこともあってか、当日は多数の方にご参加いただきました。(机を出して可能な限りの椅子をならべてもギリギリなほど!)



今回、講師をお願いした藤高さんは、バイリンガルアート情報サイト Tokyo Art Beat の設立者であり、現在は NY で NY Art Beat 運営他、現地のアート情報の発信をされています。
本勉強会では、2010年から急激に増えたというアート分野のWEBサービスについて、さまざまな例を出してお話いただきました。

■事例として紹介されたサービス

(1)VIP ART FAIR(終了)
今年1月22日から30日まで開催されたオンライン・アート・フェア

(2)art.sy
美術作品共有サイト(2011年春オープン予定)

(3)EXHIBITION a
エディション数を限定した現代アート作品をオンラインで購入できるサイト

(4)ARTIFEX PRESS
アーティストのオンライン・カタログ・サイト

(5)COLLECTRIUM
コレクターのためのWEB上での作品管理、共有サイト

(6)toura
簡単にアート系iPhoneアプリを作ることができるサービス

(7)ARTISTS WANTED
アーティストのコンペティションをオンライン上で行うサイト

アートとWEBサービスのかかわりは、90年代終わりにオンライン・オークションを中心に一度ブームがきている(artnet 等)だがそこまで定着せず、2009年頃から急成長を始めたといいます。
それには、ネット周辺の環境の整備とともに、サービス提供側、購入側ともオンライン売買への抵抗感の減少したことや、ギャラリー側がWEBでの情報提供に積極的になったこと、そして、IT業界での成功者がアート作品を購入するようになり、アートのWEBビジネス化に注目が集まっている……と藤高さんは分析されていました。
また、上記の事例にも含まれますが、データを積み重ねることでできるデータベースへの価値が高まっているという指摘も。

では、最近の日本の事例は? ということで続いてプレゼンテーションしていただいのたが、昨年12月にリリースされたばかりのiPhone用美術館割引アプリ「ミューぽん」をご担当されたTokyo Art Beat 曽田智佳子さん。

ミューぽんの概要から開発の背景として、なぜ今、美術館割引アプリなのか、ユーザー層と割引サービスのマッピング、ミューぽんの狙い等をお話いただきました。
↓当日の投影資料(一部抜粋)




「美術館に行くことの敷居を下げたい」「業界全体の意識改革のきっかけになれば」と語る曽田さん

その後は質疑応答となり、会場の方からもMCDN代表岩渕自身からもさまざまな質問・意見が出ました。

詳しくは、当日のツイートをまとめてくださったものがありますので、ご参考にしてください。

Togetter - 第四回MCDN定期勉強会 「アートとWEBサービスの最新動向」 講師:藤高晃右さん(Tokyo Art Beat, NY Art Beat, 101 TOKYO共同設立者)

MCDN の勉強会としては初のミュージアム以外をテーマとした勉強会でしたが、非常に熱気あふれる回となり、改めてさまざまな分野を横断する意欲的なテーマ設定をしていく必要性を感じました。

次回は来週月曜(21日)実施の上條由紀子さんによる「知的財産活用の観点から考えるアート・マネジメント」 です。既に定員に達しておりますが、まだお席は用意できますのでご関心ある方はふるってご応募ください。募集しめきりは19日(金)まで

第五回MCDN定期勉強会「知的財産活用の観点から考えるアート・マネジメント」

事務局山本です。

お待たせしました。2月の勉強会の告知です。
今回は、知的財産マネジメントをご専門とされている上條由紀子さん(金沢工業大学大学院准教授)をお迎えし、芸術作品を知的財産と捉え、それを経済的価値としていくためにはどういうアプローチがあるか、それらとのテクノロジーとの関係などについてお話していただき、皆さんと議論できればと考えております。
知的財産には「権利を守る」と「経済的価値としていく」両面があると思うのですが、この勉強会は主にフォーカスしていく予定です。皆様奮ってご参加ください。

★第五回MCDN定期勉強会
「知的財産活用の観点から考えるアート・マネジメント」
講師:上條由紀子さん(金沢工業大学大学院知的創造システム専攻准教授/太陽国際特許事務所弁理士)

<概要>
人間の叡智と創造性(クリエイティビティ)によって創出されたアイデアの発露といえるアート、テクノロジー、発明等は、「知的財産」という概念で捉えることができます。
この「知的財産」については、産業振興や文化発展に資するべく、著作権法や特許法等の「知的財産権法」によって、創作者や発明者の権利が保護されていますが、一方でこれらの創作物を、多くの人々が活用・流通できるよう、保護と活用のバランスをとる仕組み作りが必要となります。
特に、昨今のデジタル・IT技術の進展、ソーシャル・メディアの台頭を背景として、工業的に活用されるテクノロジーや発明のみならず、アートの経済的価値が高まり、また、流通の手段も無限のバリエーションが考えられることから、「アート」と「テクノロジー」の距離が以前にも増して近くなっていることが感じられます。
今後、アート、テクノロジー、サイエンスが近接・融合していく中で、創造性(クリエイティビティ)を発揮しながら、文化的・経済的価値が創り出されていく社会がもうそこまで来ているのではないでしょうか。

そこで、本勉強会では、知的財産活用という観点から、アート・マネジメントについて参加者の皆様と議論していきたいと思います。具体的には、例えば、以下のようなトピックを考えています。
・知的財産・知的財産権法と「アート」
・知的財産の保護と活用のバランス~コモンズ、パテントプールと標準化~
・デジタル知財と「アート」
・「アート」と「テクノロジー」との接点 等々。

■日程:2月21日(月)19:30~21:30 受付19:00~
■場所:慶応義塾大学 三田キャンパス ※詳細な場所は参加登録された方にメールでお伝えいたします。
■募集人員:20名
■会費:2,000円
■参加申し込み方法:info(at)mcdn.jp まで、下記事項をご記入の上「2/21勉強会参加希望」のタイトルでご応募ください。
・お名前
・メール・アドレス
・ご所属
※お名前とご所属は参加者の皆様に配布いたしますことご了承ください。
■応募締切 2/18(金)まで

■講師プロフィール

上條由紀子(金沢工業大学大学院知的創造システム専攻准教授/太陽国際特許事務所弁理士)
経歴:
慶應義塾大学大学院理工学部応用化学科卒業
慶應義塾大学大学院理工学研究科物質科学専攻修士課程修了。
慶應義塾中等部理科講師を経て、2000年弁理士登録。
同年、太陽国際特許事務所に入所、
2002年秋より東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、
2005年より、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構専任講師、
2009年より金沢工業大学大学院知的創造システム専攻准教授に就任。
現在、日本弁理士会知的財産コンサルティング委員会委員、
内閣官房知的財産戦略本部・知的財産による競争力強化・国際標準化
専門調査会委員、企画委員会国際標準化タスクフォースメンバー。
専門:
知的財産権法、技術標準化、知的財産マネジメント
著書:
日経文庫「知的財産マネジメント入門」(日本経済新聞社)
「百万人の職務発明」(オーム社)等。